2007年5月18日金曜日

ちょっと愚痴らせて

ただいま学生の課題を採点中。昨年と比べて格段にWriting の質が落ちている。英語の問題ではなくて、文章の書き方が悪いのだ。どういうことが起きてこうなっているのか?留学生だからとか何とかの問題ではない。IELTS勉強中の諸君、文章について考えていただきたい。スペルもグラマーも合っているし、文章として読めるけど「意味をなさない」のだ。

例えば。リポートの課題。いきなり「Appendix A shows...」と始まる文。Appendix に飛ばなくてはならない(レポートの最後)。飛んで見て戻ってくると、その内容が本文に書かれていない。だから読み手はもう一度Appendix に飛んで、何を言いたいのか推量して、本文に戻って来なければならない。クライアント宛てに作成しているリポートである。クライアントにグラフを分析させてどうしろっちゅうねん。

こんなリポート書いたらクビよ、クビ。大学の最終学年だぞ。卒業したら就職だぞ。

普通に、普通に考えてください。「The result shows that A was larger than B (see Appendix A)」と書けば「へえ、AはBよりでかいのか」と思いながらAppendix に飛び、グラフを見てなるほどそうかと納得して戻ってくる。お客さんってのは、あなたがどう言ったかではなく、あなたの言ったことが何かを見たいのですよ。

学生の中でも「私はここが出来るけどここが出来ない」と言ってくる人がいるけど、そんなことはどーでもいいのです。「これは何ですか?」「ここがわかりません」と言えば教えるものを、「私はここは比較的できるけど」と言えば「ああそうですか、じゃ大丈夫だね」と答えるしかないじゃないか。それで「教えてくれなかった」と文句を言う。「出来る」と言う人に教えることはないし「出来ない」んだったら出来るようになるまで、それをやればいいじゃないか。「わからない」と言うのとは大違いだってことを理解していただきたい。

「わからない」を「わかってもらう」のは私たちの仕事だが、「出来ない」ものを「出来る」ようにするのは私たちの仕事ではない。勘違いしないでいただきたい。それはトレーナーの仕事である。トレーニング(訓練)で「出来る」ようになるのである。本人がやらずにして「出来る」わけがないのである。

文章が書けないのが書けるようになるには訓練が必要である。「私はここは出来る」というから「そうですか」と思っていていざ読んだら全然書けていない。勘違い+自意識過剰ときているから手の施しようがない。「これのどこが悪いのか」という感じである。悪いよ、読めないんだもの。お客に出したリポートをお客が読めないのは、お客が悪い、とでも言いたいのか?実社会ではお客が金を払ってるんだぞ。

「自分さえ良ければ全て良し」みたいな発想で文章を書いている人が多い。「私の文章のどこが悪いの?」 悪いよ、読めないよ。普通に、普通に「このリポートの目的は・・・です」って始められないのか?能書きはいらない。「The aim of this report is to ...」でお客さんは十分。だってそれが知りたいのだから。「Quality is important for ...」なんてわかりきったことはいらない。お客は別にあなたの講釈を読みたいわけではない。

IELTSのWriting だって、舐めたらいかんよ。読み手にわかってもらってナンボ、です。トピックは何かいの一番に言おう。「Discuss...」とあったら、Discuss しよう。主語は何か。動詞(Action)は何か。目的(Object)は何か。ちゃんとはっきりさせよう。高度なテクニックばかり気にしていると、中学や高校レベルでやった基本が抜け落ちたままになる。「This is it」の構文が意味をなしていないんだぜ(上の「Appendix shows...」は英語構文としては何も落ち度はない)。意味のない文章。これほど恐ろしいことはない。でも、こういう文を大学の最終学年で平気で出してくる事実がここにある。

普通の、普通のことをちゃんとしようよ。

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