2007年4月23日月曜日

(仮題)

この学会論文記事(PDF)も面白い。

これも解説は後ほど。つか、これが分かればマスターレベルは楽勝だな。

IELTSの奥にせまる 8.0に向かって

この学会投稿論文は面白い。

Academic Module の各レベルでどんな単語が使われているのかというのを調査したもの。これによると、8.0のレベルの人はアカデミック・ワードが使いこなせるレベルってことになる。もちろん一般英語が使いこなせなければお話にならないので、7.0以上を目指している人は、アカデミック・ワードを覚える前に、確実に「アホンダラ」な間違いをしないレベルになっていただきたい。新しいことを覚えるということは以前の知識が疎かになる、ということでもある。足場を固めてから柱を立てていただきたい。「Data」を単数形とみなすなどは言語道断である。

「アホンダラ」と表現したのには訳がある。一つ間違えると二つ間違っている、というロジックをよく理解していただきたい。「Data」が単数形、という間違いの他に、「Datum」という単語の存在を知らない、ということを曝け出しているのである。「Media」についても同じことが言える。こういう単語は高校レベルであり、7.0に行けずにつっかかっている人達は、案外この点をバカにしてやっていない人が多い。

さて、本題である。「アカデミック・ワード」ってどんなの?

細かいことは置いといて、このPDF記事の最後の2ページにすっ飛んでいっていただきたい。最後から2番目がよく使われる一般英語であり、最終ページがIELTS用のアカデミック・ワード・リストである。

これを見た諸君は、ぶったまげたに違いない。「おい、こんなんでいいのかよ」というのが率直な感想だろう。そんなんでいいのである。高校レベルの単語数で十分だ、ということは、何度も何度も口を酸っぱくして言っているが、ほとんどの受験者はこれを無視して、何か他のかっこいい、新しいことを追おうとする。それじゃ、言わせてもらおう。これらは決して「Academic words」ではない。IELTS用のアカデミック・ワードなのである。

現実には、とんでもない数の専門用語、業界用語が存在する。そんなのは「IELTSで希望スコアを取り、入学してから」覚えればいいことだ。この調査によれば、そんなのを一切使わずとも、これらの「いわゆるアカデミック」な単語たちだけで8.0へは到達できる。

目標設定を間違えてはいけない。開けなきゃいけないドアはさっさと開けて通り抜ければいいのである。開ける前からその先のことを心配しているのは、時間と労力と精神力のムダである。

2007年4月22日日曜日

Back to Basics

自分の英語を時々チェックすることが上達につながる。いつもはAPA(American Psychology Association)の発行しているStyle Manual 5th Edition を使うけど、それでは「英語」のチェックには足りない。というわけで今回はコレを使用。

Renton, N.E. (2004). Conpendium of good writing: A plain English guide to plain English. Milton, QLD: Wiley & Sons.

この(↑)の書き並べ順とか、イタリックとかコンマとか、そういうのはAPA Style Manual を見れば分かるけど、grammar とか、punctuation とか、この本はとてもきっちり書いてあるのでお勧めできる。オーストラリア版なので、イギリス英語とアメリカ英語の区別がはっきり書かれている(AUSではアメリカナイズがかなり深刻な問題になっている)。私のクラスの学生にもこれを読んでもらいたいと思う。

中身をちょっと紹介してみよう。

「文法的に合っているからといって、その文が必ずしもきちんとした『英語』であるとは限らない」
  • (A) The manager was present when the present was presented to Peter just before Bill came in to present his message.
  • (B) The manager was in attendance when the gift was handed to Peter just before Bill came in to deliver his message.
(A)の文章にどこも間違いは(文法的には)無い。IELTSなら5.0~5.5まではいくだろう。しかし読んでいて吐き気がする文である。対して(B)は気持ちが良い。「英語が使えているか」はこの点を試されるのである。6.0の壁はここにある。同じ単語を繰り返さない。基礎的な語彙力が必要だが、難しい単語を覚える必要は何も無い。ここにある単語は中高英語の範囲内である。
  • (A) These conditions have been fought for for more than one hundred years.
  • (B) Workers have fought for these conditions for more than one hundred years.
これも(A)に間違いはない。日本語で考えた文をそのまま英語にしようとするとこうなることが多い。途中で "for" が二度繰り返されているのが気持ち悪くなり、一つ外してしまうだろう。そうすると文法的に間違いになり、いきなり4.0くらいにレベルダウンしてしまう。そんなテクニカルな文を作るよりは、最初から(B)のようにシンプルに文を構成する練習をすることだ。これは中学で習う構文そのものである。

私のように博士課程でとか学術雑誌で論文を書いている者にとっても、難しい単語を覚えて使おうとすることにはリスクが生じる。そして大抵は失敗する。試したいなら、失敗しても良い場所で試すべきだ。試験本番で試す人は余程の自信があるか、落ちても良いと思っている人だ。

今回も、かなりの文章が修正され、原稿は赤字だらけになった。殆どが中高生で習った構文に置き換えられ、カッコイイと思って使った単語はことごとく抹殺されていた。上の二つの例文を見れば、その真意は明らかである。

2007年4月6日金曜日

英語が使えるとこんなことも

PhD on the Gold Coast: 学者デビュー  いや、私事で恐縮ですが。

ってなわけで、今日から学者の「端くれ」と名乗ることができます。
「センセイ」と呼ばれても分相応でいられます。嬉しい。

英語はまだまだボロクソだけど(指導官が校正してくれた)、
ネイティヴみたいになんか話せないけど、
英語をコミュニケーションの道具として使って
「こんなことが出来るんだぜぇ」という例を見せることが出来たかな。

みんなと同じようにIELTSに悩む所から始まり、
どうしたら英語が上達できるかをひたすら考え、
一生懸命チャレンジすると、こういう結果が出る。
みんな同じだよ。やってるかやっていないか。それだけだよ。
一緒に頑張ろうねえ。

2007年4月4日水曜日

Writing General Task 1

You should spend 20 miniuts on this task. You are due to start a new job next week but you will not be able to because you have some problems. Write a letter to your new employer. In your letter:
  • explain your situation
  • describe your problems
  • tell him/her when you think you can start.

You shoud write at least 150 wards. you do NOT need to write your own address. Begin your letter as follows. "Dear..."

[Sample Answer]

Dear Ms Adams,  

I am writing concerning the position of Assistant Office Management that I am due to begin next Monday. However, a problem has arisen. As you know, I currently work for my uncle's food-packing business,and you will remember from my interview that I have gaind valuable experience there. Unfortunately, he has had to go into hospital for an operation.leaving my aunt in charge of both the home and the business. She has asked me, as this is a particularly busy time of the year to stay on and help her with the running of the office. I realise this will be inconvenient to you but very much hope that given the circumstances, you would be prepared to allow me to take up my position with you two weeks later than planned. I would like to emphasise that I remain very keen to work with you. and that I will be gaining further useful experience during this time. I look forward to hearing from you.

Yours sincerely,
[Your name here]

このモデル回答は、実際にはあまり良い文章とは言えませんが、これでも7.0は軽く行けるというのであれば、そんなに気負ってかっこいい文章をつくる必要はないと思えます。この回答は、かっこよすぎるあまりに、だらだらとムダに長くなっている箇所があり、意味も取りづらいです。個人的な言い訳がならんでいて、実際にこんな手紙を受け取ったら、あまり相手は良い印象を持たないでしょう(As you know, とか)。

実際のビジネスの手紙としては、これが通用するかは別として、模範例としてある場所に出ていたので、これで十分行けると思います。

2007年4月1日日曜日

究極の英語使用法 ?

学校の教材として使われた、カナダCBC製作の「Denial Machine」という番組を
観ています。オーストラリアではSBSが「Four Corners」という番組で紹介しました。
簡潔に言うと、政治におけるパワーゲームと、情報操作が主題です。

カナダが Bush Administration (ブッシュ政権)のやり口をすっぱ抜いた形ですが
この番組では「言葉の使い方」で国民感情を左右できる、ということと
それを「地球温暖化問題」に対してブッシュ政権が行っていることへの
強烈な批判、ということとが核になっています。

Febrary, Bush appoints Vice President and former oil executive Dick Cheney to head a secret energy task force. March, Bush pulls the US out of the Kyoto agreement to reduce greenhouse gas emission. April, Bush breaks a campaign promise to limit emissions from coal-burning power plants.

ここまでは、大方の人が知っていることですね。さあ、ここからです。

アメリカでは、P という人が「地球温暖化問題」に関して、
地球温暖化問題にチャレンジしている人々、企業、組織に向けて
16ページに渡るリポートを出しました。 「早急に対処しないと危険だ」

このリポートに対抗しブッシュ陣営がスピーチ原稿をつくります。

Rule 1: Never use the term "global warming".
これに基づいてブッシュはこう発言します。
BUSH: "A global climate change presents a different set of challenges"
(解説)「Global warming」というと人々を刺激しますが、「Climate change」だとそうでもない。

Rule 2: Never call yourself an environmentalist.
BUSH: "We all want to be good stewards of our environment, we want to be good conservationists"
(解説)「Environmentalist」はRadicalな表現だけど、「Conservationist」はRealistと感じる。

こうやって、多額な経済負担を強いて温暖化に歯止めをかけることが果たして
有効な方法かどうか、という主張のもとに根本の問題はうやむやになっていきます。
ブッシュ政権は、京都会議での合意である、CO2排出の規制(greenhouse gas emission)、
いわゆる「石油を燃やすことが温暖化の主要因である」という説は違う、と言っています。
間違いだとは言っていませんよ。「主要因ではない」と言っています。

確かに「The cost of prevention is too high」です。
BUSH: "When we make decisions, we want to make sure we do so on sound science. Not what sounds good, but what is real"
これはその通りです。何が良いかではなく、何が現実としてあるかをみて、
政府としては、科学的な実証に基づいて決断をしなくてはならない。

というわけで、ブッシュ政府は「排気ガス量が増えると温暖化は促進する」を
「温暖化の促進と排気ガスの関係はそこまで強くない」と置き換えます。
マスコミに「排気ガスを抑制するのはコストがかかり過ぎ」と後押しさせます。
国民は「そのコストは税金からだろ、じゃ俺らに負担がかかり過ぎ」となり
結果として「排気ガス抑制なんて徐々にやっていけばいいじゃん」となります。
企業は「じゃ、そんなに力入れて排気ガス抑制対策を実行しなくても」となり、
結局、京都会議で決議したことは何だったの?と思い始めます。

ここがミソ。ブッシュ政権は、オイルをコントロールして世界をコントロールしたい。
諸外国が「石油なしでやっていけるようにみんなで頑張ろう」となるのは困ります。

At the White House, denial was now firmly in the White House, denial was now firmly in charge. The president had two new environmental advisors, though they were hardly environmentalists. Phil Cooney, had been a lobbyist for the oil industry, and James Connaughton, was a lower from mining and chemical interests.

「Climate Change Impacts on the United States」を修正せよ。
この通告にしたがって、この二人はレポートを改ざんしていきます。

"The earth is going through a period of relatively rapid change" という箇所が
"the earch may be going to through a period of change" となり、
"Uncertainties about global warming"  という箇所は
"Significant and fundamental uncertainties" となりました。

似たような表現ですが、心理的には大違いです。

この後の話はかなり英語的に高度な内容なので、ここで止めておきますが、
上の4つの文の中にはそれほど難しい単語は入っていません(最後の一文を除く)。
ちょっと語句を並べかえたりすることで、真意は簡単に曲げられるということです。

こんな風に英語を使いこなすことが出来るようになったら、すごいですね。