2007年4月1日日曜日

究極の英語使用法 ?

学校の教材として使われた、カナダCBC製作の「Denial Machine」という番組を
観ています。オーストラリアではSBSが「Four Corners」という番組で紹介しました。
簡潔に言うと、政治におけるパワーゲームと、情報操作が主題です。

カナダが Bush Administration (ブッシュ政権)のやり口をすっぱ抜いた形ですが
この番組では「言葉の使い方」で国民感情を左右できる、ということと
それを「地球温暖化問題」に対してブッシュ政権が行っていることへの
強烈な批判、ということとが核になっています。

Febrary, Bush appoints Vice President and former oil executive Dick Cheney to head a secret energy task force. March, Bush pulls the US out of the Kyoto agreement to reduce greenhouse gas emission. April, Bush breaks a campaign promise to limit emissions from coal-burning power plants.

ここまでは、大方の人が知っていることですね。さあ、ここからです。

アメリカでは、P という人が「地球温暖化問題」に関して、
地球温暖化問題にチャレンジしている人々、企業、組織に向けて
16ページに渡るリポートを出しました。 「早急に対処しないと危険だ」

このリポートに対抗しブッシュ陣営がスピーチ原稿をつくります。

Rule 1: Never use the term "global warming".
これに基づいてブッシュはこう発言します。
BUSH: "A global climate change presents a different set of challenges"
(解説)「Global warming」というと人々を刺激しますが、「Climate change」だとそうでもない。

Rule 2: Never call yourself an environmentalist.
BUSH: "We all want to be good stewards of our environment, we want to be good conservationists"
(解説)「Environmentalist」はRadicalな表現だけど、「Conservationist」はRealistと感じる。

こうやって、多額な経済負担を強いて温暖化に歯止めをかけることが果たして
有効な方法かどうか、という主張のもとに根本の問題はうやむやになっていきます。
ブッシュ政権は、京都会議での合意である、CO2排出の規制(greenhouse gas emission)、
いわゆる「石油を燃やすことが温暖化の主要因である」という説は違う、と言っています。
間違いだとは言っていませんよ。「主要因ではない」と言っています。

確かに「The cost of prevention is too high」です。
BUSH: "When we make decisions, we want to make sure we do so on sound science. Not what sounds good, but what is real"
これはその通りです。何が良いかではなく、何が現実としてあるかをみて、
政府としては、科学的な実証に基づいて決断をしなくてはならない。

というわけで、ブッシュ政府は「排気ガス量が増えると温暖化は促進する」を
「温暖化の促進と排気ガスの関係はそこまで強くない」と置き換えます。
マスコミに「排気ガスを抑制するのはコストがかかり過ぎ」と後押しさせます。
国民は「そのコストは税金からだろ、じゃ俺らに負担がかかり過ぎ」となり
結果として「排気ガス抑制なんて徐々にやっていけばいいじゃん」となります。
企業は「じゃ、そんなに力入れて排気ガス抑制対策を実行しなくても」となり、
結局、京都会議で決議したことは何だったの?と思い始めます。

ここがミソ。ブッシュ政権は、オイルをコントロールして世界をコントロールしたい。
諸外国が「石油なしでやっていけるようにみんなで頑張ろう」となるのは困ります。

At the White House, denial was now firmly in the White House, denial was now firmly in charge. The president had two new environmental advisors, though they were hardly environmentalists. Phil Cooney, had been a lobbyist for the oil industry, and James Connaughton, was a lower from mining and chemical interests.

「Climate Change Impacts on the United States」を修正せよ。
この通告にしたがって、この二人はレポートを改ざんしていきます。

"The earth is going through a period of relatively rapid change" という箇所が
"the earch may be going to through a period of change" となり、
"Uncertainties about global warming"  という箇所は
"Significant and fundamental uncertainties" となりました。

似たような表現ですが、心理的には大違いです。

この後の話はかなり英語的に高度な内容なので、ここで止めておきますが、
上の4つの文の中にはそれほど難しい単語は入っていません(最後の一文を除く)。
ちょっと語句を並べかえたりすることで、真意は簡単に曲げられるということです。

こんな風に英語を使いこなすことが出来るようになったら、すごいですね。

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